最近、友人と「なんか映画作りたいねー」って感じで合意したので少し考えてみた。今回はアニメ映画ではなく実写映画の話。絵は描けないので。
1.脚本について
私の周りには、動画を弄れる人間と音楽を作れる人間がいるので、まがりなりにも小説を書いた私が脚本を作れば、それで映画ができそうな気もする。映画作りたいなーって思った時に、動画編集とか音楽制作とかを外注することは考えられる。だが根幹である脚本までアウトソーシングしてしまったら、自分で映画作ってることにならない。
だから映画を作りたいのなら最低限脚本は作らなきゃいかん。
ただ、一から作るのは非常に骨が折れるので、好きな小説とかマンガとかを原作にとって脚本を作るのが無難だろう。その方が話題にもなりやすいし多くの人の目に留まるという利点もある。
作者が死んで五十年以上たっている著作権切れの作品から適当なものを探す。
その際、映画制作会社のように潤沢な資金があるわけでもないので、予算を気にしなければいけない。
高度なCGを要する作品はダメ
多数のエキストラを要する作品もダメ
アクションシーンも撮るのが難しいから避けたい。
あと舞台ですね。ちゃんとロケ地を確保できるのか。
こういったことを念頭に置いて検討した結果、私たちの場合にはカフカの『審判』に白羽の矢が立った。(私の小説は小道具、大道具、CGを鬼のように使う必要があるので没に)
脚本ができればどんな人間をキャスティングすればいいのか明確になるし、小道具とか衣装、どこで撮るのかのイメージも固まってくる。
原作を完全にトレースする必要は全くないので、予算とか好みと相談しながら、適宜アレンジを加えて良いだろう。
2.撮影について
映画を撮るうえで絶対に必要なのはカメラだ。カメラには色々な種類があって、値段もピンキリ、どれを選んだらよいか途方にくれることもあろう。
その場合には自分がどんな映像を撮りたいか具体的にイメージし、それを実現できる機能を備えたカメラを選択するのが筋だ。
素人が撮った映像が拙い印象を発散してしまう原因はおおまかに二つある。
視線移動が雑なこと
ピントに対する意識が低いこと
この二点に気を配れば、素人が安い機材を使ってもそれなりの映像が撮れる。
2-ⅰ視線移動について
素人が撮った映像作品には観客を引きこむ力が無い。どことなく作りもの感がぬぐえないのだ。この問題は視線移動の方法を検討することで解消できる。プロは視線の移動にクレーン式のアームを使う。
これがあると視線移動の滑らかさが断然違ってくる(手振れとは別の問題)。
カメラの向きを手で変えると滑らかにはいかないため、ホームビデオ感が強まり一気に稚拙な印象になる。観客にカメラマンの存在を意識させてしまうことで作品の世界観が崩れ、虚構感が出てしまう。
しかし素人がクレーン式のアームを用意することは難しい。レンタルもあるようだが安くない。
アームを使えないとなれば他の手段を考える必要がある。私からは二つ提案したい。
一つは三脚を使ってカメラを固定してしまうこと。三脚の上でカメラの方向を変えるくらいなら問題にならないだろう。
ただこの場合には、カメラの位置が固定されるので撮り方に制限が出る。この制限を脚本を書くときから意識したい。
もう一つの手段は、POV(point of view)ショットを採用することだ。主観撮影ともいう。これを用いた質の高い作品として以下。映画ではなくMVだが、参考に。
演者の頭に取り付けたカメラで撮影するのがPOVだ。この撮影方法の特徴は、主人公の視線とカメラの視線が一致しているという点だ。
これを使えば作品の中にカメラマンの存在を意識させてしまうということがないので違和感を生まない。
この手法は観客の没入感を高める効果もあるのでホラー映画などでよく採用される。
ただ、当然短所もある。
一つはきれいな映像を撮りにくいことだ。後述する背景ぼかしなどを利かせた映像は撮れない。POVはカメラを頭に取り付けるため、どうしても重量に制限が出るからだ。
上に挙げた作品はかなりテンポがよくスリルもあるので、背景がどうとかほとんど気にならないが、長編映画を徹頭徹尾このスピード感で撮るのは無理がある。
POVを使うにしても、三脚を使った俯瞰撮影との組み合わせで部分採用という形になるだろう。
2-ⅱピントについて
何でもいいから近くにある物を何か一つ見つめてみて欲しい。
このとき視界には見つめている物以外の物も入っているだろうが、どうだろう。それらはぼんやり見えているのではないだろうか。
普段我々は、見つめている物以外の物には無頓着なので、こうしたことにはなかなか気づかない。
しかしよく検討してみると、実際の人間の物の見え方というのは、一部だけにピントが合っているような見え方なのである。(ピントが合っている=焦点が合っている)
ピントの合わせ方について無意識な撮り方をすると、画面に映るものすべてがはっきり映るような映像が撮れるが、これは実際の人間の見え方とは違う。つまりリアルな映像ではないのである。
一眼レフカメラなどを使うと背景をぼかした写真を撮れることは割と有名である※。今度書店に行ったときには適当なアイドルの写真集を一冊手に取ってみてほしい。きっと背景はぼけまくっているはずだ。
※背景ぼかしには電子式と光学式、画像処理による誤魔化しの三つがあって、一眼レフは光学式。アイフォンとかにあるアプリの背景ぼかしは画像処理。電子式、画像処理式は機械をコンパクトにできるがどうしても作りもの感が出る。
このとき視界には見つめている物以外の物も入っているだろうが、どうだろう。それらはぼんやり見えているのではないだろうか。
普段我々は、見つめている物以外の物には無頓着なので、こうしたことにはなかなか気づかない。
しかしよく検討してみると、実際の人間の物の見え方というのは、一部だけにピントが合っているような見え方なのである。(ピントが合っている=焦点が合っている)
ピントの合わせ方について無意識な撮り方をすると、画面に映るものすべてがはっきり映るような映像が撮れるが、これは実際の人間の見え方とは違う。つまりリアルな映像ではないのである。
一眼レフカメラなどを使うと背景をぼかした写真を撮れることは割と有名である※。今度書店に行ったときには適当なアイドルの写真集を一冊手に取ってみてほしい。きっと背景はぼけまくっているはずだ。
※背景ぼかしには電子式と光学式、画像処理による誤魔化しの三つがあって、一眼レフは光学式。アイフォンとかにあるアプリの背景ぼかしは画像処理。電子式、画像処理式は機械をコンパクトにできるがどうしても作りもの感が出る。
ともかく、いい映画を撮るなら、観客に映像がどのように見えるのか、その視覚効果をコントロールして狙った印象を引き出す必要がある。計算された映画。すばらしい。
で、実は最近のハンディカム(運動会で子供を撮るカメラ)は機能が向上しており、撮り方に気を付けさえすれば背景をぼかした映像が撮れるのである。
これについての解説動画が以下。専門家なだけあって、なかなかためになることを話しているが動画のテンポは悪いのでそこは見習わないように。
ハンディカムは高性能な手振れ防止機能や風切音フィルターなども実装されていて、上手く扱えばいい動画が撮れる。この辺の機能は一眼レフのカメラにはない利点だ。
あとハンディカムの利点として、長時間の撮影に耐えうることが挙げられる。なんと言っても撮りやすいのが売りだ。
一眼レフで撮ればきれいな映像が撮れるけど、手振れにも弱いし音声の拾い方も甘い、連続で撮影できるのは三十分が限度だ。これは要所で使うべきだろう。
POVカメラ、一眼レフ、ハンディカム、特徴を押さえて使い分けたい。一つに絞る必要はないだろう。
予算に余裕があれば外付けのマイクも用意したい。
3.後は人と金を集めるだけだ
脚本と撮影、この二つをどうするか具体的にイメージできれば、後は人と金を集めて撮影に入るだけだ。リソースが集まらなかったら脚本を修正して誤魔化そう。……と、ここまでなにやら知ったように語りましたが、生憎私はただの文学好きな工学部生で、映像に関しては素人ですからあしからず。参考程度にお留め下さいますよう。